そして数年後、新宿アルタ前
相変わらずごったがえす人混みの中で金城は久しぶりに会う親友の姿を見つけた。 「ようっ、待ったか、真田?」 「いや、おれも今来たところだ。少し太ったんじゃないか?」 「そうかぁ?」 「西都大学情報処理科講師とは随分と出世したもんだな。」 「菖蒲さんのおかげさ。あ、ちょっと待ってくれ。」 金城はバッグの中から封筒を取りだして真田に渡す。 「何だよ、これ?・・・『御招待状』?これって・・・まさか?!」 「来月・・・菖蒲さんと結婚することになった。」 「やったじゃないか、金城!!」 金城は照れくさそうに頭をかく。 「お前はどうなんだよ、真田?」 「おれ?知ってるだろう、売れない伝奇物のフリー・ライターさ。」 「そうじゃなくて、阿須美ちゃんはどうしたんだよ?」 真田は遠い目をして天を仰いだ。 「あの時・・・鵺島で別れたっきりさ。」 「ええええっ!何でさ?お前達絶対いい雰囲気だと思ったのに。」 「一度だけ手紙が来た。 日本中を回って、残っている『影』の家系を探したり『魔』の封印を確かめてるって書いてあったよ。」 「あの子の戦いはまだ終わっちゃいないんだな。」 「日本のどこかでおれ達と同じ空気を吸いながら、やはりあの子が住んでいる『世界』は違うってことさ。」 と、苦笑しながらもう一度天をふり仰いだ真田を金城が肘でこづく。 「見ろよ、あれ・・・」 ビルの壁面のオーロラビジョンには武上官房長官がP3Cの撮影した写真を示しながら記者会見をする模様が映し出されていた。 「われわれはこれをゴジラと断定しました。 ゴジラはまさに生きております。 ゴジラが日本のいずれかに上陸することはもはや避けられない ・・・」
******************** 完 ********************
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