それより少し前、大阪湾航行中のアメリカ船籍貨物船、MAX号。
(以下、英語・・・のつもり)
「船長、ニュースを見たかい?」
「ああ、ボブ、京都のMONSTERの話だろ。上陸したらワイフに京都のみやげを頼まれていたのにアンラッキーだぜ、全く。」
「しかしこのJAPANって国はどうなってるんだろうな、毎年のようにMONSTERが上陸してやがる。
 アメリカには大昔にでっかいゴリラがやってきたぐらいのもんだ。」
「ああ、1度ぐらいNYにGODZILLAでもやってきて平和ボケしたウォール街の金の亡者どもに一発ガツンとくらわして欲しいもんだ。」
「いや、そりゃあ面白そうだな。はっはっはっ。」
「ん?船長、ありゃ何だ?」
「何?」
「ほらあそこ・・・ほら、光った!!」
「ホントだ。」
次の瞬間、真っ黒な夜の海が数回青い閃光を発する。
と、激しい水泡とともに海面はゆっくりと持ち上がり始める。
そしてその中から・・・・
「Wooo....! It's GODZILLA!!!」
ギャオォォォォォォーーーーゥ!
ついに不死身の怪獣王がその長い沈黙を破って出現したのだった。
それは数回体を揺すって水しぶきをはねとばすと、宝石のようにきらめく阪神の夜の明かりを凝視した。
そしてゆっくりとその方へ向かって進み始めたのであった。

久山御町、防衛隊前線移動指揮所。
中島は雑音混じりの無線機のマイクを握りしめて怒鳴っていた。
「紀伊水道はともかく、鳴門海峡や友ケ島水道の入り口は固めていたんじゃなかったのか!」
「・・海流の・・が早くて・・・レーダーには・・・」
「くそっ、話にならん!海防さんは先の伊勢湾での失策以来ドジ続きじゃないのか!」
彼がマイクを投げつけた時、大田原大佐が到着した。
「まさか本当にゴジラが生きていたとはな。しかもこれであの巫女さんの話を信じないわけにはいかなくなったわけだ。」
「しかし大佐、そんなお札でゴジラを操れるだなんて、我々のやってきたことはいったい何だったんです!!」
「今はそれを考えている時間はない。
 このままだとおそらく尼崎市付近に上陸するはずだ。
 警察・消防にも連絡して、予想進路にあたる、尼崎、吹田、豊中、高槻、長岡京、向日の各市の住民の避難を急がせろ。
 避難の方向は京都への直線ルートを空けるようにしろとな。」
「全線閉鎖中の名神道でメーサー光線部隊を西進させてはどうでしょう?指揮は私がとります!」
「ダメだ。人口密集地での交戦は許可できない。
 第一ゴジラの進行をくい止めてどうするつもりなのだ?」
「大佐が何とおっしゃろうと、私にはおとぎ話は信じられません。」
「少佐・・・、これは命令だ。
 各方面への連絡が完了したら対戦車ヘリ部隊を指揮してゴジラを監視しろ。
 ゴジラがルートを大きく外れる以外の発砲は厳禁だぞ。」
「はっ!」
「役には立たないだろうが空防へ航空支援のスタンバイは要請しておく。」


その11を見る→

←TOPに戻る