将軍塚前線基地
「ディオガルスはゴジラとの戦いで手一杯のはずだ。 対戦車ヘリ部隊に連絡!直ちにそこから離脱。巣を破壊させろ! まもなく小松から上がったF2機が合流するはずだ。」 「中佐、前線基地から入電、巣を破壊せよとの命令です!」 「よしっ、各機俺に続け!!」 ゴジラの監視役の任を解かれたヘリ4機は大きくその機体を翻らせ巣に向かう。 「パーティの始まりだ。はでにやろうぜ!!」 バリバリバリバリ・・・・! 指揮ヘリを先頭に4機のヘリは巣の周りをホバリングしつつ旋回しバルカン砲を連射する。 まるで茂みのようになった巣の破片は火花と共に無数の破片となって舞落ちていく。 それは闇夜の中にまるで無数の星のきらめきのようにも見えた。 そしてディオガルスが自らの巣の異常に気づいて振り向いた一瞬の隙を、ゴジラは見逃さなかった。 すばやく身を翻したその尻尾がディオガルスの足を払う。 ズドドドドーーーン!! 虚を突かれ大きくバランスを失ったディオガルスは東寺の五重の塔に倒れかかる。 まるでそれはおもちゃの積み木細工の様に崩れさった。 そしてそこにゴジラの追撃の放射熱線! 間一髪飛び退くディオガルス。 平安遷都直後から密教文化の伝統として栄えてきたシンボルの残骸は一瞬にして火だるまになりながら四散した。 「ああっ、東寺がっ!!」 前線基地から眺めていた隊員達の何人もが悲鳴にも似た叫びをあげた。 元御所上空 「少佐、これでは埒があきません!」 「くそっ、この巣はいったい何でできているんだ?!!」 そう、バルカン砲ではディオガルスの巣の無数の小枝を吹き飛ばすのが精いっぱいなのだった。 「各機、巣から距離を取って対地ミサイルだ!!」 シュバァァァァッ!! 4機の対戦車ヘリからほぼ同時に8発の対地ミサイルが白い航跡を残しながら巣に向かって発射された。 ズドォォォォォーーーン!! 激しい閃光、爆煙の中、巣を形作る円錐柱の何本かがぼっきりと折れ、崩れ落ちていくのが見えた。 「よしっ、各機、全ミサイルを撃ち尽くすまで撃て!!」 「少佐、小松のFから入電!」 「ともかくありったけのミサイルをぶち込んでくれるように言うんだ!!」 ギュワァァァァーーーーン! 衝撃波と共に中島少佐の遥か頭上を横切っていくF15二機。 「頼むぜ、兄弟!」 左手には猛火を上げる南区の猛火に浮かび上がる2匹の大怪獣のシルエット、右手には戦闘機とヘリのミサイル攻撃を受け、怪しい閃光を放ちながら崩れていく電磁の要塞。 前線基地に陣取った防衛隊の隊員達は誰もが固唾を飲んでこの光景を凝視していた。 ディオガルスは明らかに巣に気を取られていた。 しかしこの怪獣王相手にそういう余裕がないのはすでに明らかであった。 そしてそれは意を決したかのように四つ足を踏ん張り、京都駅を背にしたゴジラに向かってゆっくりとその鶏冠を広げ始めた。 無数にその周りに走る電撃! 「静電砲だっ!!」 野生の本能で何かを感じたゴジラが背鰭を光らせがすでに手遅れであった。 バリバリバリバリッ!!!!! 静電砲の直撃を受けたゴジラは一瞬体を硬直させたまま巨大なモニュメントにも見える駅ビルの中央コンコースめがけて吹き飛ばされていた。 その巨大な吹き抜け空間は一瞬にして無数のガラス片と瓦礫で埋め尽くされる。 そしてディオガルスの静電砲第二波! いや違う! 「何だあれは?!!」 鶏冠に走る電撃そのものが幾重にも絡み合う様になって前方に向かって伸び始めていた。 そしてそれは駅ビル全体を包むように・・・・ 「あれも静電砲なのか?!!」 「ああっ、きょ、京都駅があぁぁぁっ!!」 信じられない光景が起こっていた。 ゴジラが倒れている中央部分の両側、つまりJR伊勢丹部分と、反対側のホテルグランヴィア京都とシアター1200部分が中央部を軸にして電撃に包まれたまま持ち上がり始めていた。 「京都駅が・・・折れる?!!」 バキバキバキ・・ズドドドォォォォーーーーン!! 両側の建物部分がほとんど「直立」に持ち上り次々とすさまじい地響きと共にゴジラめがけて崩壊したのだった。 本来駅ビルがあった場所は数分の間に巨大な瓦礫の山と化していた。
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