ゴジラは背鰭を発光させつつじりじりとディオガルスとの間を詰める。
身を低くかがめながら間合いを計るディオガルス。
ゴジラがその必殺の放射熱線を吐き出す寸前に獣王は高々と宙を舞う。
その尻尾がスルスルと伸び、ゴジラの太い首に巻き付く。
ギャオ、ギャオェェェ〜〜〜〜ン!ズドドドーーーーーン!!
首を引っ張られゴジラは仰向けにひっくり返る。
グォゥ!
短く吠えたディオガルスは尻尾をゴジラの首に巻き付けたまま疾走し、勢いづいたところで尻尾を解く。
あらゆる物をなぎ倒しながらゴジラは滑走していく。
ドガガガガーーーーーン!!!
数百m滑ったゴジラはビルの一つに頭を突っ込んで止まった。
頭を振りながらよろよろと起きあがったとき、敵はすでに真後ろにいた。
そしてその巨大な牙をゴジラの尻尾にめり込ませる!
ギャオェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!
尻尾を後ろに引っ張られたゴジラは今度は前のめりに倒れる。
ディオガルスは尻尾をくわえたまま力任せに体を大きくねじる。
ゴジラの巨体がまるで重力を失ったかのようにふわりと宙に浮く
そのまま体を180度捻ったディオガルスが尻尾を離すとゴジラの巨体は宙を舞う。
ズズズズ〜〜〜〜〜〜ン!!!
すさまじい地響きと共にゴジラが落下する。
グォォォォォーーーーーーーッ!!!
勝ち誇ったような咆哮を上げながらゆっくり鬣を逆立て、鶏冠を広げ始めるディオガルス。

「まずい、静電砲が来るぞ!!」
バリバリバリバリッ!!!
夜の闇を切り裂きまっすぐにゴジラを捉える静電砲!
ギャエェェェェ〜〜〜〜〜〜ン!!
ゴジラは再び体を硬直させたまま吹っ飛んだ。
しかし瓦礫の中から頭を起こしたゴジラの目には怒りの炎がメラメラと燃えていた。

まだ起きあがろうとするゴジラを見たディオガルスは身を低くかがめる。
その前肢から鋭い爪がにゅっと伸びる。そしてそのままゴジラの真上に飛び乗っていく。
ガブッ!!!ギャオォォォォォ〜〜〜〜〜〜ッツ!!!
鋭い爪をゴジラの肩にくい込ませながらディオガルスはゴジラの喉笛に噛みついた。
血反吐を吐きながらゴジラの両手はディオガルスの鬣をがっちり握っていた。
ブチブチブチッ!!グォォォォォォ〜〜〜〜〜〜ッ!!!
牙を逃れようと引っ張られた鬣は鈍い音ともに抜け落ちる。
たまらず牙を抜いたディオガルスの一瞬の隙を怪獣王は見逃さなかった。
再び両手でディオガルスの鬣を握りなおしたゴジラの背鰭が素早く発光する。
ゴォォォォォォォーーーーーーッ!!!
ゴジラは掴んだままのディオガルスの鬣に向けて放射熱線を吐いたのだった。
鬣は一瞬にして炎を上げて燃え始めた。
グワォォォォォ〜〜〜〜〜ッ!!!
悲鳴のような鳴き声を上げながら飛び退いた獣王は地面を転がりながら鬣をこすりつけて火を消そうとする。
ディオガルスがようやく鬣の火を消し止めたとき、ゴジラもやっと立ち上がった所だった。
憎悪の炎の燃える瞳で獣王を睨み付けるゴジラの背鰭には青白い電光が光る。
巨大な巣を背にゆっくりと鶏冠を広げ始めるディオガルス。
が、しかし、ゴジラの熱線で鬣を失った鶏冠に走る電撃は明らかに弱々しかった。
発射!!!
ゴォォォォォォォーーーーッ!!!バリバリバリバリッ!!!
核エネルギーを補充したゴジラの熱線はあっさりとディオガルスの静電砲を押し返す。
次の瞬間ディオガルスは鶏冠を粉々に引きちぎられ、巣の真下まで吹き飛ばされたのだった。

「やったぁぁぁ!!!」
立川基地の司令室では歓声が巻き起こっていた。
真田は金城と抱き合って小踊りして喜んでいる。
菖蒲も思わず拍手をしてしまった。
傍らの阿須美は・・・目を閉じて手を合わせている。
大田原大佐は「うむ・・・」と頷きながら椅子の背もたれに寄り掛かった。
ただ一人中島少佐だけは拳を握りしめたまま鋭い目つきでスクリーンを睨んでいる。

ゴジラの放射熱線の直撃を受け倒れ込んだディオガルスに、ゴジラはゆっくりと近づいていく。
と、そのディオガルスの尻尾がするするとのび、その先には鋭い「針」が光っていた。
ゴジラがそれを避ける間もなく、針は深々とゴジラの肩に突き刺さった。
一瞬身動きが止まるゴジラ。
が、1回瞬きをしたゴジラはゆっくりとその針を抜き去り放り投げ、数歩後ずさりした。
渾身の力を振り絞ったような放射熱線。
ディオガルスは一瞬にして猛火に包まれる。
さらにゴジラはディオガルスの巨大な巣に向かって熱線を吐いた。
無数の破片となったそれはディオガルスの躯を埋葬するかのように降り注いでいった。
しばしそれを眺めていたゴジラは天に向かってひときわ長く咆吼した。
ギャオェェェェ〜〜〜〜〜〜ン!!!

それとほぼ同時に、停電していた家々の明かりが、ネオンが次々に点灯し始めたのだった。


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